身元保証等高齢者サポート事業調査
家族の形が大きく変わり、高齢化とともに一人暮らし高齢者が増え続けているし、これからも増えていく。そうした高齢者のライフエンディングステージを社会がどう支えるかを考えてきたが、その一つが「生前契約」とか「エンディングサポート」などと呼ばれる、契約によって生前から死後事務までをカバーする方法だ。国は「身元保証等高齢者サポート事業」と呼ぶ。これまでこの事業をめぐって契約不履行といった消費者被害や、強制的な遺贈などさまざまな問題が指摘されてきたし実際に起きてもいた。だが、国は監督官庁を設けず、及び腰でいた。それがようやく重い腰をあげ、総務省が事業者の実態調査を実施した。間違いなく今後はより一層必要となる事業だけに次の動き、具体的にはガイドライン制定と監督行政へとつながることを期待したい。
この調査のポイントはいくつかあるが、ここ数年、こういっては失礼ながら、わけのわからない業者、つまり無責任な業者が増えたなあという感覚があったのだが、業者の事業開始時期調査でやはりここ数年、参入する業者が多かったことが裏付けらた。令和になってからの参入が全体の4割以上を占めている。必要に駆られてという場合もあろう。「身元保証は儲かるから」といった意識でないことを願う。1993年に日本で最初にこうした枠組みをつくった「りすシステム」を、その立ち上げ当初から見てきただけに、この事業の難しさはよくわかっている。契約者がいつ亡くなるかはわからないから長期にわたる契約となる可能性はあるし、負担の割に儲かるものではない。儲け狙いの業者が簡単に入って廃業する事態となれば、高齢利用者への影響は大きいだけに心配される。
また、つとに指摘されていたように預託金を預かる主体と事業者が分かれていないケースも見受けられる。日本ライフ協会事件はまさにこれが原因で起きた。預託金の保全をどう図るっているかが業者の良しあしを見るうえ大きなポイントだ。解約手続きについて言及のない業者がかなりいることにも驚かされる。人生最後の契約で自身ではその履行を見届けることができないだけに、信頼度の高い事業者だけが生き残れるようにしなければこのシステムは広がりにくい。繰り返しだが、この調査は第一歩だ。ぜひ、次のステップで安心して利用できる環境づくりに国は取り組んでほしい。
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